100年後・旧直江津銀行の姿
その館は、約130年前に旧直江津銀行として誕生しその後、海運業の回漕店の時を経て、今、海のそばでその時を物語っているかのように静かに佇んで見えました。海、陸の要地として繁栄してきた直江津において、経済の拠点であった館。その中で、多くの往来をしていた紙幣。まるで水のようにただよう経済の流れを長年、物質として存在し続けてきた紙幣は、現代において電子マネー化により、その存在が消えつつあります。 100年後、この紙幣はどうなっているでしょう? 経済の流れの中で行き交ったさまざまな人や物、情報の記憶をすき込んだ紙幣。もし紙幣の役目を終えた紙が、銀行の中に残り続けていたとしたら。旧直江津銀行の100年後の姿を紙で想像します。
ワークショップの様子
西村優子(にしむらゆうこ)
1978年生まれ。日本大学芸術学部デザイン学科建築デザインコース卒業、筑波大学大学院修士課程芸術研究科デザイン専攻構成分野修了後、紙の造形作家として活動。日本古来の「折りのかたち」を継承していくにあたり、「折り紙」の分野だけにとどまらず、折りの可能性を追求したいと考えている。古来より受け継いできた日本人の心のかたちを、文化と造形の接点として現代の造形にしていく試みを行っている。折形デザイン研究所のメンバーでもある。